バナナには種がないのを知っていますか?
通常、果物や野菜は種の入った果実を作ることで、次の世代にバトンを渡します。
しかし、種を作らないバナナが増え続けている理由は「栄養生殖」をしているからです。
「栄養生殖」とは、茎や根・葉といった一部分を植え付けたり、茎の根元の脇から出てくる新芽を使って、再びその個体が形成される生殖の方法です。これは「無性生殖」とも呼ばれる生殖方法の一種です。
通常の生殖方法としては「有性生殖」が知られており、オスとメスがそれぞれつくる配偶子が合体することで新しい個体=子どもをつくる方法です。時間がかかるというデメリットはありますが、親である2つの個体の遺伝情報が混ざりあってできた存在である為、新しい遺伝情報をもった個体には、それまでの個体になかった新しい性質や、生存に有利な形質が獲得される可能性があります。そのためその時代、その気候に対応した強い適用能力を持った子孫を残すことが出来るのです。
一方、栄養生殖をふくむ「無性生殖」では、配偶子を必要としませんし、オスとメスのような二個体も不要。一つの個体が単独で個体数を増やすのが、「無性生殖」という生殖方法です。
ただし、遺伝情報が混ざり合うことがなく、すべてが親のクローンのような存在なので、環境が悪くなると一気に全滅してしまう可能性があるのです。
「無性生殖」の作物は、バナナの他にもサツマイモ、ジャガイモ、さといもやレンコンの他、イチゴやブドウも栄養生殖で栽培されているんですよ。