北九州市で青果仲卸業を営む小林青果株式会社(本社:福岡県北九州市、代表取締役社長:岩本 良一)は、2024 年 1 月 5日(金)に、北九州市で中央卸売市場を運営する北九州市卸売市場協会主催の 2024 年度「せり初め式」 に参加いたしました。大盛り上がりを見せた当日の様子を写真とともにお届けします。

<せり初め式とは?>
せり初め式とは、生鮮食料品の市場取引の活性化、1 年間の無事故を祈念して行われ、市民生活に不可欠な生鮮食料品の安全・安心を確保し、安定供給するという大変重要な役割を担っています。昭和 50 年の北九州市中央卸売市場開設に合
わせ入場した小林青果株式会社は、以来約 50 年間にわたって競りに参加してきました。

■北九州市長はじめ市場関係者など、多数ご出席のもと青果部のせり初め式を開催
当日は北九州市長の武内和久氏をはじめ、北九州青果代表として百合野市場協会副会長がご挨拶されました。昨年北九州に新たに誕生した青果物流拠点「ロジベース」を駆使したコールドチェーン(低温流通網)の拡充を通じて青果物の品質を高め、市場への入荷量拡大を願っていると話され、その後壇上のベルを押して新年初の競りが開始されました。

■賑やかな声が飛び交う初競りがスタート!

新年初競りのためか、声にも気合が入っている様子のせり人の方たち。
入荷量が年末に比べて増えていたこともあり、参加者の方々も積極的に札を挙げています。

■実は北九州がトップセールスの島根県産野菜。特設競り場にて「ご祝儀価格」も!
年が明けて新春を感じさせる野菜として、春の山菜があります。
山菜の生産が盛んな生産地そのものが少ない中、島根県はタラの芽やうるいの収穫量が年間5トン以上ある名産地です。北九州青果では島根県産の春の山菜の取り扱いが全国でもトップ。今回、島根県産の山菜特設競り場が設けられ、島根県知事の丸山達也氏と島根県観光キャラクター「しまねっこ」が駆けつけご挨拶した後、競りに参加されました。丸山氏は福岡県の広川出身で、プランターで野菜栽培することが趣味だとお話しをされ、福岡にも青果にも所縁のある方でした。

<ご祝儀相場をご存じですか?>
島根県知事自ら競りに登壇され、そんなおめでたい雰囲気の中でついた競り値「ご祝儀相場」というものがあります。ご祝儀相場というとマグロの初競りが有名で、「○○百万円~数億円でマグロが落札された」というニュースを目にしたことはありませんか。
初競りのおめでたい雰囲気の演出のためや、企業が高値で競り落として PR するなど毎年盛り上がりを見せています。
青果でもささやかながらご祝儀相場が付くことがあり、通常 200 円ほどですが今年の春の山菜の初競りには1パック 500 円の値が付くなどしました。
マグロに比べると地味に感じますが、立派なご祝儀相場です。

【今年の初競りの所感を地元の八百屋さんに聞いてみました!】
今シーズンの冬は暖冬といわれており、野菜・果物にも様々な影響がありました。特にいちごはその風当たりが強く、出荷量のピークがずれ込んでしまうことでクリスマス~年末にかけていちごの数が大幅に減り、とても高騰しました。
年末は天気が崩れたことでいちごの色づきも悪くダブルパンチ。周りの八百屋さんも必死の表情でいちご競りに出ていました。
ちょうど年越しぐらいのタイミングで天気が持ち直したこともあり、年明けの初競りにはいい色のいちごがたくさん出てきて安心したことと、ようやくお客様へたくさん提供できるようになりますと、喜びの声が上がりました。

<小林青果株式会社 代表取締役社長 岩本良一のコメント>

毎年北九州中央卸売市場ではせり初め式が行われます。
今年は市場開設者である、北九州市長の挨拶があり、三本締めで各品目ごとに分かれて勢いよく始まりました。今年は年末から年始にかけて天候に恵まれ気温も高く、野菜は豊作です。入荷が多く、価格は安いスタートでした。葉物野菜やトマト、いちごは特に入荷が多かったように思います。
今回は初競りから島根県のトップセールスで春野菜のイベントがあり島根県知事と地元ゆるキャラのしまねっこが来場され、島根県産の本わさびが1キロ当たり2万円の高値で取引されました。
どこかの魚市場のマグロの1億円と比べると大変地味ではありますが、新年からいいスタートが切れたと思っています

<八百屋で見かけるお正月飾りの意味とは?>
実は八百屋でも取り扱っているお正月飾り。しめ縄や鏡餅などが一番に思い浮かぶと思いますが、それぞれの飾りの意味が大きく分けて二つあります。
まず神様をお迎えする目印としてしめ縄や門松があり、お迎えした神様が滞在するための依り代(よりしろ)として鏡餅があります。鏡餅は実は三種の神器を兼ね揃えたおめでたいお正月飾りです。
年が明けると何気なく目にしている「鏡餅」、「橙(だいだい)」、「干し柿」には実はそれぞれに深い意味があります。

鏡餅という名前の由来は昔の鏡に似ていることからだそうです。
またその鏡が日本書紀に記されている三種の神器の一つ八咫鏡(やたのか
がみ)であるという説があります。
八咫鏡は天岩戸に隠れたアマテラスオオミカミ(天照大御神)を誘い出すため
に使われたそうです。

橙(葉付きみかん)は三種の神器である「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」
に見立てられており、玉として丸い橙が飾られています。
また橙は、「代々家が繁栄するように」という願いが込められています。
橙は木から落ちずに実が大きく育つため、縁起が良いものとされています。

串柿は 1 本の細い竹串に 5 個または 10 個干し柿を刺したもので、三種の神
器である「草薙の剣」に見立てたものだそうです。
5 個の串柿は「(1)一人(1)一人が(3)皆幸せに」という意味があり、10 個の場合は「いつも(2)にこ(2)にこ(6)仲睦まじく、ともに白髪の生えるまで」という家族の幸せを願っているようです。

<実は地域によって違うしめ縄飾りの形>

しめ縄飾りには様々な形のものがありますが、主に各地域の独自のお祭りや行事があり、その地域性によってデザインも変わるようです。北九州では鶴が羽を広げたような丸い形のものが多く使われており、古来より「鶴は千年」と言われるように長寿を願っています。また北九州では商売や産業が盛んなため、無限の循環を象徴した丸い形で商売繁盛を願っているという説もあります。