初夏を前にお店には「びわ」が並び始めました。その魅力は、主張しすぎない優しい甘さとみずみずしさにあります。また、淡い橙色と優しい形から、和のしつらえとして枝付きのびわを床の間に飾るなど、初夏を演出する素材としても親しまれてきました。
イチゴやメロンのような華やかさこそないものの、この時期にさわやかな甘さを届けてくれるびわ。花言葉は「治癒」「温和」「あなたに打ち明ける」。今回は、そんな日本らしい奥ゆかしさを感じる「びわ」をクローズアップしてみました。

びわを庭に植えると縁起が悪い?

びわは中国原産で、日本では古くから、葉や実は万病を癒やす薬として重宝されてきました。一方で「庭に植えると縁起が悪い」との迷信は、その高い薬効ゆえに病人が集まったことや、大きな葉が日光を遮り湿気を呼ぶという懸念が転じたものとされています。※諸説あります

しかし実際には、厳しい冬に小さな花をたくさん咲かせ、初夏に黄金の実を結ぶ、静かな生命力と癒やしの知恵を秘めた樹木です。厳しい寒さに越えて結実することから、端午の節句には「努力が実を結びますように」という願いを込めて、菖蒲やちまきとともに飾られることもある縁起の良い果物です。
また、冬の静けさの中で健気に咲くびわの花は「寂(さ)び」を、初夏に実る黄金色の実は「侘(わ
び」を感じさせ、俳句や水墨画の世界でも情緒的な風物詩として好まれてきました。

栄養価が高く美容と健康におすすめ

ここまでは控えめな印象のびわですが、栄養価はとても高く、β-カロテン、カリウム、ポリフェノール(クロロゲン酸)、クエン酸を豊富に含む、高い抗酸化作用を持つ栄養価の高い果物です。
ただし、食べ過ぎると、水分と食物繊維の過剰摂取により下痢や腹痛を起こす可能性があるので、一日5~6個までが目安です。また、未熟な果実や種には毒性物質「アミグダリン」が含まれるため、絶対に食べないでください。

ビワは今から初夏が最盛期。一大産地である長崎県産を筆頭に、千葉県、香川県、福岡県など、さまざまな産地から届きます。最近は改良された大玉の品種もあり、肉厚&ジューシーで食べ応えも抜群です。
優しくさわやかな甘さを、びわの奥ゆかしさを感じながら味わってみませんか。ちなみに、びわは基本的には常温で、風通しの良い涼しい場所で保存しますが、気温が上がりそうなら冷蔵庫へ。収穫後の追熟はしないため、購入後2~3日以内には食べ切るようにしましょう。